マーケティングの用語、判別分析の意味を解説していきます。
判別分析とは、標本などのデータをいくつかのグループに分けたり、
すでに判明している既存のグループのどれに属するのかを特定する分析の方法です。
多変量解析の手法の1つで、「判別」を目的にした解析の方法です。
判別分析をする場合、たとえば、複数の変数が存在していて、
その変数が2つ以上のグループに分かれている場合、
それぞれのグループ間の境界線を見つけ出し、
グループ間の違いを見分けていくための多変量解析の方法です。
流通・マーケティングにおける判別分析
判別分析は消費者などを2つ、または3つ以上のグループに分ける場合に
その分類の基準となる要因を数学的に見つけ出し、
さらにその影響度を測るための多変量解析の方法1つです。
判別分析を行う場合、学歴や職歴など、
本来なら数値を使って数量的に表現できない「質的」な要因を
グループ分けのための判別に使えるメリットがあります。
たとえば、とある耐久消費財(自動車や家電、パソコンなど、比較的長期間使える高価な商品)を欲しがる需要層について、
「購買希望層」、欲しがっている層・グループと
「非購買層」欲しがらない層・グループに区別しようとした場合、
所得や学歴、職業・住居形態・年齢など、
まったく異なる複数の要因を共通した1つの総合判定基準によって整理し
さらにそれぞれの要因の影響力を数学的に示し、判別することができるのです。
判別分析には参照データとなる多変量データが必要になる
判別分析では、ある固体や変数など、対象となるものが
どの集団・群・グループに属するのかを判別する際に
多変量データに基づいて統計的に、数学的に解析を行っていきます。
そのため、各集団・群・グループについては
既にそれぞれのグループに属することが分かっている固体や変数に関する
多変量データ、つまり、固体や変数に関する特性のデータが
複数観測されていることが前提となる多変量解析の方法です。
この既に観測されている多変量データのことを参照データと呼び、
それぞれのグループごとの参照データの分布状況を参照することによって
新しくグループ分けしていく固体・変数がどのグループに属するのかを
判別分析によって判別していくことになります。
ビジネスやマーケティングにおいて判別分析を適用する3つの事例
判別分析が利用される場面は、
多くの多変量解析の手法によって分けられる集団の情報を得ることよりも
個人(1固体)を分類するために使われることの多い多変量解析の手法です。
ここで、ビジネスやマーケティングにおいて
判別分析が適用される事例を3つ、紹介していきます。
ビジネスやマーケティングにおいて判別分析を適用する事例1:セールスの効率化
セールスの活動を効率化するために判別分析を利用します。
これまでに見込み客から購入に至った顧客、
そうでない顧客のデータを参照データとして利用し、
消費者を購入しそうな見込み客、そうでないお客さんに分けていきます。
ビジネスやマーケティングにおいて判別分析を適用する事例2:顧客のランク分けに使う
すでに自社商品やサービスを購入した顧客だとしても
購入回数や購入頻度、他にも所得などによってグループ分けするために
判別分析を利用して顧客の判別を行っていきます。
ビジネスやマーケティングにおいて判別分析を適用する事例3:クレジットカードの審査
クレジットカードの申し込みを行ったお客さんに対して
クレジットカードを発行する/クレジットカードを発行しない
これらを判別する入会審査でも判別分析は利用されます。
収入や職業などのデータが判別分析の参照データとして利用されます。
判別分析の具体例:IHクッキングヒーター
さらに具体的な例としてIHクッキングヒーターを
持っている人、持っていない人、それぞれを分類する判別分析です。
持っている人と持っていない人を分類することによって
持っている人の特徴やプロフィールを明らかにして
持っていない人の中でも購入する可能性の高い消費者を
見つけ出すための判別分析の具体例です。
この場合、世帯特徴として、以下の項目について
持っている人のデータを集めて、
判別分析の参照データとして利用します。
■家族構成
■世帯年収
■住居形態
■居住年数
■居住地域
この結果、たとえば、高年収で持ち家があり、まだ築年数が浅い、
さらに首都圏在住という世帯のIHクッキングヒーターの保有率が高かったとします。
そうすると、まだIHクッキングヒーターを持っていない人の中から
この判別分析の参照データに該当する人を抽出することによって
IHクッキングヒーターを持っていない人の中から
購入する可能性の高い消費者を判別し、抽出することができます。
判別分析の判別の精度は高いので、
マーケティングの分析においても非常に重要な役割を持つ分析の方法になります。
以上が、マーケティングの用語、判別分析の意味になります。
ぜひ、参考にしてください。
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