参入障壁とは?参入障壁の意味を丁寧に解説

マーケティングの用語、参入障壁の意味を解説していきます。

参入障壁とは、企業がある業界に新規参入しようとした際に
その参入を妨げる障害、障壁となる原因を指すマーケティングの用語です。

また、新たに企業が特定の産業で生産や販売を開始する場合に
それをはばもうとするものの総称を参入障壁と言う場合もあります。

この場合、まったく新しい企業が生まれる場合もあれば、
他の産業分野の企業が異分野に出てくることによって
新たな競合、ライバルとなる場合もあります。

たとえば、、ある企業が新しい業界に参入しようとした場合、
当然ながら、その業界には既に事業を開始している企業があり、
その企業には新たに業界に参入してくる企業よりも優位性があります。

既に事業を開始していた既存の業者、企業の場合は、
これまでに事業を育てる過程でコストを支払い、
そして、ノウハウを培ってきた経験があります。

その一方、新規に業界に参入する企業の場合、
全てを1から始めていかなければならないハンデがあります。

参入障壁は既存の業者、企業にとってはアドバンテージである

新規参入企業からすれば、既存の業者、企業が投資してきたコストや
ノウハウ、築いてきたブランドは脅威になりますが、
既存の業者、企業の立場からすれば、
それら投資してきたコスト、築いてきたノウハウやブランドは、
新規参入企業に対するアドバンテージであり、また、
その脅威から身を守る防護壁ということになるのです。

既存の業者、企業にとっては、参入障壁の高さこそが、
新規参入企業の脅威を測るための指標となるのです。

新規の参入があれば、既存の業者、企業にとっては
市場での競争度合いが増し、また、業界での収益性が低下するので、
新規参入企業に対して意識的に参入障壁を築こうとするのです。

既存の業者、企業からすれば、新規参入企業から見たら障壁・障害となる参入障壁が
さまざまなアドバンテージということができるのです。

つまり、特定の市場で参入障壁を意図的に構築することは
企業にとっては「新規参入企業の脅威」から自社を守る
「競争回避の戦略」ということになり、非常に重要な戦略となるのです。

7種類の参入障壁

経済学者であり、「競争の戦略」の著者である
マイケル・ポーター(Porter,M.E.)は
参入障壁の種類を次の7つに分類しています。

参入障壁の種類1:規模の経済性

規模の経済性は、事業規模が大きくなることで、
製品1つあたりの生産コスト、平均コストが小さくなる現象のことをいいます。

新規参入企業にとっては、規模の経済性が働く場合、
既存の業者、企業と同じ大きさの規模で事業を行わないと
同じレベルのコストで同じクオリティ・品質の製品を作ることができません。

そのため、規模の経済性は参入障壁となるのです。

ちなみに、事業の規模が大きくなるほど、つまり、スケールが大きくなるほど
競争上優位になるのが規模の経済性ですので、
規模の経済性を「スケールメリット」と呼ぶ場合もあります。

参入障壁の種類2:製品差別化

既存の業者、企業がプロモーション活動などのマーケティングによって
自社のブランドを高めている場合、新規参入企業にとって参入障壁となって
参入しづらい状況を作ります。

自社のブランド力を高めるためには宣伝広告費をかけて
顧客に対してブランドをアピールする必要があります。

しかも、通常は既存の業者、企業が使った宣伝広告費を
上回るコストが必要となる場合がほとんどです
ので、
新規参入企業にとっては大きな参入障壁となるのです。

参入障壁の種類3:巨額の投資

新規参入しようとする業界が、
研究開発、設備投資など、巨額の投資が必要な業界の場合、
その巨額の投資が新規参入企業にとっての参入障壁となります。

巨額の投資は長期借入金を必要とする場合もあるので、
その返済や金利負担が事業資金を圧迫する可能性があり、
大きな参入障壁となるのです。

参入障壁の種類4:流通チャネル

既存の業者、企業がその業界で流通チャネルを確立している場合、
新規参入企業にとって参入障壁となる場合があります。

新規参入企業が流通チャネルを1から築く場合、
取引先の開拓やプロモーション、他にも営業コストや販促コストが必要で、
これが大きな参入障壁となるのです。

逆にこれら流通チャネルが確立されている既存の業者、企業の場合、
新規参入企業に対する大きなアドバンテージ(参入障壁)になるのです。

参入障壁の種類5:独占的な製品技術

既存の業者、企業が特許を取得していたりすると、
それは独占的な製品技術となりますので、
新規参入企業に対する参入障壁となります。

特許の場合、「使用料」がかかりますので、
生産コストの部分で大きな参入障壁となるのです。

参入障壁の種類6:経験曲線効果

経験曲線効果とは、
経験を積むほどにその課題を効率的にこなせるようになることを意味する言葉です。

製造の場面では、累積の生産量が増えるほどに
作業が効率化し、生産コストが下がっていく現象ということになります。

既存の業者、企業の方が圧倒的に生産量が多いのは確実なので、
これも新規参入企業にとっては大きな参入障壁となります。

参入障壁の種類7:政府の政策

業界によっては政府の認可、許可が必要な場合があり、
それが参入障壁となることを言います。

具体例を出すと、銀行業は免許制となっているので、
一般企業がすぐに参入することは実現せず、参入障壁となるのです。

参入障壁とは既存業者、既存企業の積み上げ

結局のところ、参入障壁とは、
その業界の既存業者、企業が積み上げてきたもののことです。

新規事業を考えている場合には、
参入障壁という観点も重視して検討していく必要があるということです。

以上が、マーケティングの用語、参入障壁の意味になります。

ぜひ、参考にしてください。

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