マーケティングの用語、オズボーン効果の意味を解説していきます。
オズボーン効果とは、新製品を発表するタイミングが早すぎることによって
消費者が現行製品の買い控えを起こし、
販売不振を招いてしまうことを表したマーケティングの用語です。
1980年代にオズボーン・コンピュータ社が起こしたマーケティングの失敗に由来しているため、
「オズボーン効果」という名称が使われるようになりました。
オズボーン効果の語源となったオズボーン・コンピュータ社の失敗とは?
1983年、オズボーン・コンピュータ社のアダム・オズボーンが
Osborne 1システムの後継機種として、当時未完成であった
「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」と発表しました。
そして、これらの機種が既存のコンピュータよりも
性能の面で大きく上回っていることを強調しました。
その結果、消費者、顧客の間では、
「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」の発売を待つための
既存製品のコンピュータの買い控えが起きて、
オズボーン社の売上が急落しました。
この買い控え、売上の急落が原因となって、
キャッシュフロー、収益が悪化したために
オズボーン社は数ヶ月後に倒産してしまいました。
オズボーン社のこの失敗から、
早すぎる新製品の発表によって既存製品の買い控え、
販売不振が起こる現象を
「オズボーン効果」と呼ぶことになったのです。
オズボーン効果の逸話は都市伝説なのか?
一方で、このオズボーン効果の語源、由来となった
オズボーン・コンピュータ社の失敗について、
「都市伝説」であるという説も存在し、その説が有力になっています。
オズボーン・コンピュータ社のライバル、ケイプロ社のコンピュータが
性能面で優れていて、また、価格も安価であったことが理由となり、
オズボーン・コンピュータ社の顧客のほとんどが
ライバルのケイプロ社に流出したとも言われています。
他にも、オズボーン・コンピュータ社の倒産は、
企業決定のずさんさによって招かれたという説もあります。
実は、Osborne 1システムの後継機種、
「エグゼクティブ」と「ヴィクセン」の発表後、
一時的にOsborne 1の売上は落ち込んだものの、
最終的には売上が元に戻り、キャッシュフローも回復したと言われています。
しかし、副社長のひとりが
旧製品用の部品の在庫が残っていることを確認し、
その在庫を活用するために約200万ドルもの資金を使って
他の部品の調達を行いました。
結果的に、この資金投入がオズボーン・コンピュータ社の負債になり、
債務過剰、倒産を招いたともされています。
IT、コンピューターの産業では、
早すぎる新商品の発表に関する効果が話題になってきましたが、
その最も有名な実例である今回の「オズボーン効果」は、
実は都市伝説であったという説も有力なのです。
オズボーン効果を防止するアップル(Apple)社の戦略
毎年、決まった時期になるとスマートフォン関連である話題が飛び交います。
アップル(Apple)社のスマートフォン、iPhoneの新製品情報です。
アップル(Apple)社の新製品の発表は、発売直前にならないと行われず、
そのため、特に人気のある製品であるiPhoneについては
新商品に関する情報が流れるとすぐに話題となります。
実はこのアップル(Apple)社が新製品情報を直前まで発表しないのも
「オズボーン効果」の防止策だと言われています。
「将来発売する新製品については完全黙秘を貫き、
公式発表の直後にすぐに新製品を発売する」
これがアップル(Apple)社のオズボーン効果防止の対策だとされています。
オズボーン効果を逆手に取ったアップル(Apple)社のIntelプロセッサへの移行
その一方で、アップル(Apple)社はプロセッサ、CPUを
Intel製プロセッサに移行する際に、全く逆の戦術と取りました。
Intelプロセッサを搭載する新製品の発表を6ヶ月早くリリースしたのです。
その結果、既存のプロセッサだった
パワーPCを搭載した製品がなくなると多くの消費者が考え、
商品確保へと動き出したのです。
パワーPC搭載製品を求める市場の動きによって、
アップル(Apple)社はオズボーン効果とは逆に、
旧製品であったパワーPC搭載マシンの在庫を一掃することができたのです。
このようなアップル(Apple)社のIntelプロセッサへの移行の事例があったことからも
最近のIT、コンピュータ産業ではオズボーン効果はあまり重要視されず、
重大な問題としては扱われなくなってきています。
一概に新製品の発表を秘匿すればいいというのではなく、
消費者、顧客の持つニーズに合わせた戦略をとることが
これからのIT、コンピュータ産業では求められていくことになりそうです。
以上が、マーケティングの用語、オズボーン効果の意味になります。
ぜひ、参考にしてください。
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